【カゴ釣りに挑む】晩秋のエサ取りを交わしカツオやアジを狙う



Chapter1: カツオ、釣れ盛る



黒潮大蛇行が終わるのだという。



黒潮大蛇行とは、冷水塊と呼ばれる黒潮よりも海水温の低い部分が紀伊半島沖に居座って、黒潮が潮岬からはるか南へ遠ざかってしまう現象のことだ。通常なら潮岬にぶつかり、支流が和歌山西岸を北上し、黒潮水系に生息する温かい海に過ごす青物なんかが回遊してくるが、大蛇行が始まってからというもの、それまで岸から釣れていた青物が軒並み釣れなくなった。



この大蛇行、始まってかれこれ3年と2ヶ月ということで、2017年8月ごろから始まっていたらしい。どうりでその頃から青岸でもマリーナシティでもカツオが釣れないわけだ。一時期は中国漁船が成魚の段階のカツオをツナとして食うためフィリピン沖で乱獲しているなどあらぬ噂が立ったものだが、和歌山付近でカツオが不漁なのは概してこの黒潮大蛇行が原因だったと思われる。




しかし黒潮大蛇行は終わりを告げそうだ。と同時に青物の釣果がネットで騒がしくなった。これだけ釣った釣れたと賑やかならば当然、カゴを投げに行かねばなるまい。この日のために自作のウキを大量に作っておいたのだ。





かくして煙樹ヶ浜にて。



風を捉え、弧を描いて美しくカゴが飛ぶ。はるか沖、飛沫をあげて着水すれば、急いで糸フケを巻き上げ糸を張り、カゴをカーブフォールさせ、仕掛けを張りながら沈めていく。幾度か竿をあおって撒き餌を効かせたのちによっこらしょうとクーラーボックスに腰を掛け、見上げればウキがない。



ハッと気がたかぶり、慌てて竿先海面へ目をやれば、今まさに道糸が沖へ沖へと走っていくではないか。



ためらう間もなくガッと竿を立てれば、ハリに気づいたのであろうそいつは沖に手前に左に右にと、猛進に次ぐ猛進。湾曲する磯竿を握る手にもグッと力がこもる。



頭の中で、戦闘開始のファンファーレが鳴り止まない。左に走れば左に、右に走れば右に竿先を振る。沖に走れば竿を立て、手前に走ればリールをゴリ巻く。80mもの沖から獲物を手繰り寄せるのだ、必死で竿を捌かねば獲物は取れない。



ビビビと振動を受けながら波打ち際まで手繰り寄せ、寄せ波に乗せてそいつを抜き上げる。ソーダガツオだ。30数センチ。



黒潮ありがとう。ついに群れが入った。





となると針を外し、次の仕掛けの投入を急がねばならない。相手は群れておる。去ってしまうまでにもう一投すれば、またかかるかもしれないのだ。


しかしカツオ。この独特のバイブレーション。針ががががなななかなかなかつつつつかめかめかめないひひひいひいひあいやいやいやい



えーい、と仕方がないのでバシッとサバ折りでトドメを刺し、急いで針を外す。血まみれになるのでとりあえずバッカンへ放り込む。そしてつぶさにさし餌を刺し、カゴに撒き餌を仕込んで沖を打つ。



もう、無限に釣っていたい。頭の中のファンファーレが鳴り止まない。






Chapter2: アジも、釣れ盛る



誰が何と言おうとアジは旨い。めちゃくちゃ旨い。


小さくても大きくても、フライにしても刺身にしても塩焼きにしてもなめろうにしても南蛮漬けにしてもどうやっても旨い。



脂で表面が艶めかしい焼きたての塩焼き。湯気立つ白ご飯。箸を入れただけで身はほぐれ、光に当てると虹が輝く。実に神々しい。張りのある噛みごたえ。ほとばしる旨味。白ご飯よ、このなんらかの旨味成分を絡め取り、混ざり合い、転がりあって口の中をかけずるあぅいぉういおいおい



というのを2度夢で見た。前の晩に青岸の釣果情報を見たのだった。だから2度、青岸へ尺アジ釣りに行った。





波間を漂うウキ。左から右に吹く風を受けゆらりゆらりと流れていく。異常なし。


いい天気だ。周りも異常なしか。今日はいろんな釣り師がおるな。実にのどかでいいではないか。さて、ウキは、と見るとウキがない。カゴ釣りではウキが沈む瞬間を間違いなく見ることができない。退屈で、こうやってよそ見ばかりしているからだ。



あっ、と思って竿を立て、咄嗟に合わせを入れる。ビビビンと魚の手応えを感じた直後、フッと外れてしまった。そりゃそうだ。アジの口元は薄いのだ。合わせを入れてはいけないことを忘れていた。



そしてまたユラユラと波間を漂うウキ。左から右に吹(略)


さて、ウキは、と見るとウキがない。またか。



今度は合わせを入れず、ドラグもユルユルにし、デカいタックル、仕掛けにもかかわらず繊細に操り、丁寧に魚を寄せてくる。ジジジ、ジジジジジジ、とドラグを鳴らしながら、駆け引きなく、ゆっくりと寄せてくる。



アジだ。デカい。30cmはあろう。足元まで丁寧に扱ってきた割に、うれしさのあまり最後はタモを使わずぶっこ抜く。無事水揚げ完了。32cm。




しかも4本。こんなことがあっていいのか。



Chapter3: チヌも、釣れ盛る



もしかしたら私は紀州釣りで釣るよりもカゴ釣りで釣る方が得意かもしれない。


水深が6ヒロあるとする。ハリスを2ヒロ取るならば、潮が動かなければカゴまでのタナを4ヒロに、潮が速ければタナを5ヒロにし、そこから上下20cmほどタナを動かして探る。



カゴからポロポロと撒き餌がこぼれるようカゴの穴を出来るだけ狭くし、30秒ほど流しては竿を数回煽り、撒き餌を散らす。



しかし秋はまだ活性が高い。この所作だけだと毎投知らぬ間にさし餌を取られる。仕掛けが大きいのでエサ取りのアタリは出ない。



そこでエサ取りを交わすイメージで竿を大きく煽る。5.3mの竿を完全に立てるくらいまで煽るのだ。おそらくさし餌は勢いよく吹け上がり、カゴが勢いよく沈んだのち、さし餌がゆっくりとフォールする。このリフトアンドフォールっぽい動きを頻繁に行うことで、エサ取りに取られる隙をなくす。



するとフォール後の馴染んだ時に当たることが多い。もしもアタリがなければまた竿を立てるくらいに煽る。これを繰り返す。



エサ取りになされるがままなのがどうにも不甲斐なかったので、ふと思い立って竿を大きく煽った直後にこれが食った。34cm。





もちろん、チヌ狙いのタナに及ばず、エサ取りにやられる時はどのタナでもやってみる価値はあろう。煙樹ヶ浜でも、カツオの時合いでこれを2、3分繰り返した後カツオが食ったのは、それだけの間、さし餌が取られなかったということではないか。



Chapter4: とはいえ、いたら釣れるし、いなければ釣れない



それだけのこどだ。

カゴ釣りには腕など無縁だ。それこそ波止の近所に住み、チャリンコで来てそうな人の良い地元のおいやんが、夕方、混雑する狭い釣り座の合間に「ごめんやでごめんやで」言いながら入ったと思ったら、異常に短いハリスで(50cmくらいであろうか)、めちゃくちゃ近投で、めちゃくちゃ浅ダナで30cmのアジを入れ食いにする。横で見て唖然となる。あれだけ釣れたら何品目でも、何夜でも食い散らかせるではないか。



実に羨ましい。



一方の私はたったの1匹しか釣れない。横目でタナを盗み見たにも関わらずだ。一番遠くに投げる優越感に浸っていた自分が恥ずかしい。ちくしょう何が違うんだ。ハリスの長さが1m違うだけでこんなに釣果が変わるのか。なるほど、撒き餌のすぐ近くにアジは群がるのか、てことはサビキの要領だな。今度絶対にアジ専用仕掛けを作ってきてやる。いや、サビキでいいじゃん。



そういうものなのだ。



10/31、上記の通り煙樹ヶ浜でカツオが釣れた。周りもわあわあなって釣れ盛った。



気を良くして2週間後の11/14、また煙樹ヶ浜へ行った。周りも含め、全く釣れなかった。潮周りも海水温も天候も釣り座も仕掛けを流すタナも仕掛け自体も撒き餌もさし餌も竿もリールも糸も同じだった。携帯には釣り準備完了これから釣るぞのサインに撮った写真しか残っていないこの寂しさよ。





翌日、黒潮の小蛇行が始まるかも、との黒潮予測を見て、コイツのせいだ、またしばらくダメだ、と諦めていたら11/21はまた爆釣しているという。胃袋に、いつもこの時期に回るカツオには見られるシラスが入っていたというのだ。歯軋りしてやまない。


そういうものなのだ。




カゴ釣りは、いたら釣れる。いなければ釣れない。戦略性はない。魚のいる場所に行くしかない。魚のいるタナで釣るしかない。



そんな風任せの釣りだから、カゴ釣りに行く時は違う釣り方も準備していくことをオススメする。退屈だからだ。カゴ釣りで狙う魚が居ないときは違うポイントを違う釣り方で釣る。周りが青物で騒がしくなればまたカゴ釣りに戻ればいい。なんとも効率的だ。



私はカゴ釣りのときは紀州釣りとセットで用意するのが良いと思う。すごい荷物になるがw

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